こんにちは。美馬うだつ塾です。
勉強と切っても切り離せない関係にある記憶。
ですが、「暗記苦手なんです…」「その日に勉強したことも、次の日になったらほとんど忘れてしまいます…」といった悩みをよく耳にします。
記憶力を高めるためには、記憶の仕組みについて理解しておくことが大切です。
この記事では記憶の仕組みについて解説していきますので、学生の皆さんはもちろん、保護者の皆さんもぜひ参考にしてみてください。
記憶には短期記憶と長期記憶がある
まず前提として理解しておきたいのが、記憶には2種類あるということです。
記憶は、大きく分けると「短期記憶」と「長期記憶」の2つがあります。
それぞれどう違うのかについて解説すると、短期記憶は目や耳などを通して入ってきた情報を一時的に保管するための記憶です。
そして、その短期記憶の中から、脳が「これは必要だ」と判断した情報のみが長期記憶として保管されていきます。
長期記憶と短期記憶の違い
短期記憶の容量は7±2と言われており、同時に8個以上のことを記憶するのは難しいとされています。
また、”短期”という名前の通り、短期記憶として保管された情報は数十秒しか保持されず、時間が経つにつれてどんどん忘れられていきます。
一方、長期記憶は何十年も記憶することができ、また大容量の情報を記憶することができます。
時間の経過と記憶の変化

時間が経つにつれてどんどん忘れられていく短期記憶ですが、時間経過と記憶の変化について研究した「エビングハウスの忘却曲線」があります。
ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが人間の長期記憶について研究したものです。
実験では意味のないアルファベットを記憶させた後、どれだけ記憶を保持できているかを調べました。
実験では20分後には42%を忘れているという結果が出ており、その後、1時間、1日、1週間、1ヶ月が経つにつれて、どんどん記憶した内容が忘れられていきます。
なかなか覚えられないのは、短期記憶に留まっているから

しかしエビングハウスの忘却曲線が表しているのは「時間が経つにつれて記憶が忘れられていく」ことではなく、「一度覚えたものを再度覚えるのにかかる時間(節約率)」です。
例えば、初めて覚えるのに10分かかった情報でも、2回目(1時間後)に覚える時には5〜6分で全部覚えられて、初めて覚えた時にかかった時間の約44%を節約できるということを表しています。
エビングハウスの忘却曲線から、ある情報を学習してから早めのタイミングで復習をすることで、短時間で記憶を取り戻しやすいということがわかります。
長期記憶に移すことを意識した勉強が重要
初めて学習した内容は短期記憶として残り、時間とともに忘れていくこと、そして早めに復習をすることで忘れてしまった記憶を思い出しやすいことがわかりました。
最初は短期記憶でも定期的に復習を繰り返すことで、忘れていくスピードも緩やかになり、長期記憶として定着しやすくなります。
つまり、勉強した内容を長期記憶として残すためには、繰り返し復習をすることが大切です。
そして、もう一つ大事なポイントとして、復習をするベストなタイミングは”忘れかけたとき”です。
まだ内容を覚えている段階で復習をしても長期記憶にはなりづらく、一方で忘れかけたタイミングで思い出そうとすることで、より長期記憶として定着しやすくなります。
勉強した内容を忘れないようにするためには、長期記憶に移す工夫を
こうした記憶のメカニズムについて知ると、冒頭で悩みとして挙げた「その日に勉強したことを、次の日になったら忘れてしまう」理由が想像できるでしょう。
一度勉強しただけでは、ほとんどの内容は短期記憶として保管されるため、時間が経つにつれて勉強した内容をどんどん忘れていってしまいます。
また、忘れること自体は人間の正常な脳の働きであり、「記憶力が良くない」ことが原因ではないということも覚えておきましょう。
そのため、なかなか覚えられないという人はまず「短期記憶から長期記憶に移行するための工夫(=忘れかけたタイミングで復習し、内容を思い出すこと)」を意識しましょう。
まとめ
今回は記憶の種類について解説しました。
目や耳から入ってくる情報を全て記憶していると脳がパンクしてしまうため、それらの情報のほとんどは次々に忘れていくようになっています。
こうした前提を理解すると、学習した内容を長期記憶に入れるためには繰り返し復習をすることが大切だと分かります。
繰り返し復習することで、自分自身の脳が「こんなに繰り返し入ってくるということは、かなり大事な情報なんだな」と錯覚し、徐々に忘れづらくなっていきます。
今回解説した内容をぜひ日々の学習に役立ててくださいね。
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